「航空被爆」というのがある。
まず航空被曝に入る前に、普通に生活している我々も、日々、被曝していることを認識しよう。
第一に、「自然被曝」。
我々の生活している自然界の地表でも、宇宙から降り注いでくる宇宙線や、大地に含まれる放射性物質、また、ラドンなど地球内部より漏れ出て大気中に微弱に存在するがあり、これら「自然被曝」は、年間で2.5mSV(ミリシーベルト)などと言われている。
第二に、「医療被曝」。
自然放射線以外で、放射線被曝するものに「医療被曝」がある。これは、CTスキャン(7mSV/回くらい?)やX線検査(1mSV/回くらい?)を受ける際に被曝するもので、特に我が国の医療機関ではこれらの検査の導入が進展しているので、日本人は世界平均の約3.7倍の医療被曝があるといわれる。
そして、「航空被曝」。
以上に加えて、高緯度・高高度を飛行する航空機では、大気や地磁気による宇宙線の減衰効果が弱まるため、宇宙から降り注ぐ宇宙線による被曝量が地表に比べて増大すする。従って、航空機に搭乗して勤務する航空乗務員は、地表人よりも若干多めに被曝している。搭乗する路線や搭乗時間によって被曝量は異なるので一概には言えないが、1,000時間で5mSVと一般には言われている。
微量ではあるが、操縦時間数が多いほどベテランとされるパイロットの間では、職業的被曝として気になるようで、昔はよく、「パイロットの子供は女の子が多い。(航空被曝で精子の働きが弱まっているから)」などと、まことしやかに言われていた。現実には人体に影響を及ぼすほどの被曝量ではないと考えられているが。
ちなみに、こうして見てみると、医療被曝の放射線量の多さが圧倒的に目立つ。なお医療機器による被曝量のデータは、技術革新によって現在ではより減っている可能性もある。
<参考>
自分の乗る国際線でどれくらい被曝するかを計算するシステム:
航路線量計算システム(JISCARD)
放射線審議会第100回総会「航空機乗務員の宇宙線被ばくに関する検討について」
H.A.R.M.S.