建設・不動産業界でおなじみの、日経ケンプラッツ。
ここに、「エアコンの消費エネルギーは何パーセント?」という記事が載っていた。
(http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20080722/524530/)
記事内容を要約すると、
【家庭の消費エネルギーの大きさは、一般人が思っているのと実際は異なる。
東京などに住む988人を対象に家庭におけるエネルギー消費意識について調査したところ、70%が暖房または冷房が一番、消費エネルギーが大きいと認識していたという。冷房と答えた人は30%に達した。
ところが、エネルギー経済統計要覧によれば、家庭の全エネルギー消費に占める割合が最も多いのは、照明・家電などの「動力他」で37%、「給湯用」が28%で第2位、「暖房用」が第3位で27%。「冷房用」のエネルギー消費は、わずか2%にすぎない。
省エネという観点からデータとイメージを比べた場合、こういった大きな開きがあることも多い。省エネやエコはどうしてもイメージ先行で物事が進みやすく、そのフレーズを聞いたとたんに思考停止になってしまう「魔法の言葉」のような力がある。その分だけ誤解やウソも入り込みやすい。数字で問うことのできる省エネのような分野こそ、科学的で割り切った「ものさし」とそれを使いこなす知識が欠かせない。そうでないと力の入れどころを見誤ってしまう。 】
という内容だった。
近年、省エネや燃料電池・環境銘柄が投資テーマとなる中、少し気になる内容だったので、調べてみたところ、記事中に引用されていたデータは、エネ研が発刊している「エネルギー経済統計要覧」によるものだった。
1位 36% 動力など(冷蔵庫・照明・テレビ)
2位 28% 給油用
3位 27% 暖房用
4位 6% 厨房用
5位 2% 冷房用
(2006年度版エネルギー経済統計要覧)
数字に注意するという意味では、この統計にもカラクリがあり、熱量(KJ)を原油(L)換算した順位である。
電気使用量という意味では、常識どおり、エアコン>冷蔵庫>照明器具>テレビ…という順位になる。
冬場にエアコンのみを使う人がどれほどいるかわからないが(マンションで灯油/ガスストーブの使用ができない人はエアコンのみなのかな。)、冷房と暖房に分解すると、暖房の方が冷房よりも、+8%くらい消費電力(kWh)が多めな程度で、大差はない。
ややこしいことに、ここに時間軸を導入すると、順位は一転するようだ。
冷房期間消費電力量、暖房期間消費電力量という概念がある。
冷房期間消費電力量とは、冷房期間3.6ヶ月間(6月2日~9月21日)の消費電力量、
暖房期間消費電力量とは、暖房期間5.5ヶ月間(10月28日~4月14日)の消費電力量のことを指す。
我が国では、暖房期間が5.5ヶ月、冷房期間が3.6ヶ月、冷暖房要らない期間が2.9ヶ月という前提に基づき時間加重を行うと、そもそもの消費電力が+8%高いこともあり、暖房の期間消費電力量は冷房の4倍となる。
だが、家庭が暖房にエアコンのみを使う前提であること、そもそも暖房を使う期間が長いのは省エネ努力でなんとかできる範疇でないことなど、この数字をもってしても論じきるのは難しい。
結局、消費者の視点からは、やはり一月当たりの消費電力コストに立ち戻って、エアコン>冷蔵庫>照明器具>テレビというフレームワークで考えるのが妥当なのではないだろうか。。。