生涯忘れられない記憶。
なんかどこかの人が詳細を書いている。
営業やマーケは朝一番とか昼とかに告知があり、トレーディング・サイドは、大引け後の15~16時より突然会議室へ呼び出し。そして一旦デスクに戻ってくると、上着とサイフの入ったカバンや携帯だけ持って「お世話になりました」。
いつも通り喧騒につつまれていたフロアが、「お世話になりました」の意味を理解したとたんに、一瞬で deadly silence に包まれ、空気が凍りついた。誰一人として気軽にフォローの言葉もかけられず、目も合わせられない。重苦しい沈黙に支配されたまま、去っていくvictim。
次は自分か、という吐き気のするような嫌なプレッシャー。仕事に集中できない。
つい昨日エレベーターで声を交わした同期が、春に入ってきたばかりの新卒ちゃんが、雲の上の取締役が、鳴り物入りの最高峰MBA卒の秀才が、向かいの席に座ってる気さくな先輩が、勤続十年の功労者が、次々と消えていく。数年来の友人や恩人を、ロクに見送ってあげることもできず、ただ呆然と目の前で進行していく事態をぽかんと眺めることしかできない。
できることは、今日の我が身の無事に感謝しつつ、明日の平和をお祈りすることだけ。あとは皆ただ動揺を隠し、目の前の業務を淡々とこなす。時たま赤い目をしてトイレに駆け込む女性の姿もあり。
気づけば彼らのメールアドレスは仕事の早いITにより削除され、デスクにて郵送を待つ私物が、かつて主の存在していたことを弱弱しく主張するのみ。
二度としたくない経験、されどセカンド・シーズンの存在を誰も否定できない。。。
ふと目をやったCNNでオバマのCHANGE!というキャッチフレーズが目に付く。ああ、一晩にして職場が、200人の人生が変わってしまったさ。次が自分でない保証は何もない。