リストラが横行するこの頃、同期などと飲むとよく話題になるのが、「リストラ・ヘッジ」。大きく分けて、二種類のヘッジ手法があるとされる。
①週末ヘッジ
プットの買いなどと表現される。
週末に有事を想定して事前に次の行き先を探し首狩族(ヘッド・ハンター)などと逢瀬を重ね面接を進める”週末アクティブ・ヘッジ”(Weekend Active Hedge)。
または、TACなどに通って税理士や会計士試験、年齢制限にかからない場合は公務員試験の勉強をして有事に備える”週末プロフェッショナル・ヘッジ”(Weekend Professional Hedge)。
両者の差は、時間軸の違いにあるとされる。
WAH ・・・ ヘッジにかかる時間:短期、 ヘッジ可能な期間:中期
WPH ・・・ ヘッジにかかる時間:中期、 ヘッジ可能な期間:長期
危険急迫の場合には、WPHではヘッジできるまでに数年かかってしまうため、WAHによる即効性のあるヘッジを試みるべきであろう。逆に今すぐ転職する必要性は薄いが、現状ビジネスの先行きが暗い場合には、中長期スタンスのWPHが有効である。
ヘッジにかかるコストは、週末の安息、TAC受講料、出願費用など。
②異性ディフェンシブヘッジ
ポートフォリオ理論でいうところの「セクターアロケーション効果」を夫婦間で期待するヘッジ戦略である。
既婚者の場合には、妻が「TACに通い税理士の勉強をはじめた」など、夫の収入の安定性に不安を感じ能動的に行動を起こす場合が多い。ちなみにこれに似たケースが、不景気下の米国でかつてあった。夫の収入が低下し生活の維持が難しくなる中、共働きの家庭が増え、結果として女性の社会進出が進んだ、ということである。配偶者の収入が扶養者控除を上回り、かつ相関性の薄い職業である場合には、ヘッジとして有効であるといえよう。
独身の場合には、公務員や士業(弁護士、会計士など)、ヘルスケア(医師、薬剤師、製薬会社など)や電力会社などの比較的収入が景気に左右されにくく雇用が安定している異性を選好することが有用とされる。
なお自身の職業と相関性の高い職業やバリューチェーンが直結している場合は、無効なヘッジ手段であるといえよう。また永久就職(婚姻契約の締結)するまで不安定な地位に置かれるという意味では、かかるコストに見合わないケースもある。
※なお上記①と②を組み合わせて使用する場合、夫も妻も公務員などになってしまうと、景気が好転した際に、ディフェンシブすぎてアップサイドを取りにいけない点に注意。