>映画『クライマーズ・ハイ』のDVDを借りてみました。
先週、記者たちと飲む機会があって、記者の仕事に興味を持ったのがきっかけです。
この映画の描くものは、日航機墜落の御巣鷹山事件自体ではなく、
「北関東新聞」(キタカン)という地方紙と記者たちの様相です。
全国紙と地方紙、新聞社の管理職とデスク、デスクと記者、編集局と販売局、そういった対立軸を描き出しながら、物語は進行します。
そんな中で、一際頭に残るキーワードが、タイトルとした、
「チェック、ダブルチェック」です。
堤真一の演ずる主人公(デスク)が、
特ダネに100%の確証を持てず、締切が近づき決断を迫られる中、
はやる気持ちを抑えるように、「チェック、ダブルチェック」と
つぶやく姿は、印象的でした。
*このセリフの元ネタは、米映画”Ace in the Hole”(『地獄の英雄』)。
仕事に対する飽くなき真剣さに惚れました。
明日から私も、発注を出す際や、バリュエーション仕上げる際に、
「チェック、ダブルチェック」とやってみます。
>メーカーの製造現場でも「ダブルチェックは最高の発明」という話がありました。人間1人の誤操作率を10%とすると、2人が独立にチェックすることによって、総合的な誤操作率は、0.1×0.1=0.01(=1%)に低下する、という考え方だそうです。
これは上述の記事の正確性を立証する「ダブルチェック」とは質が異なりますね。
>余談ついでに、金融でも精度の高い数字が求められるため、1円のズレも許されません。リテール銀行などでは役付きが順繰りに印鑑を付くという無意味なダブルチェックが横行しているのですが、単純に独立の2者がダブルチェックをすると、部下は上司のチェック機能に甘えてしまい、上司は部下の仕事の質を信頼しきるということがおきてしまいます。相互の信頼感があだとなって、結果チェック機能が効かなくなってしまうわけです(信頼の法則)。
なぜこのような実質的に意味のないダブルチェック、トリプルチェック、クアドロチェックが行われているかというと、誤発注などが起きると内部統制の一環として、corrective action(再発防止策)が求められ、
しょうがないので手続きに「課長以上による再鑑(さいかん)を行う」などと、いれてしまうと、どんどんチェックプロセスが冗長化していくのだと思います。
私が一時所属した部署でも、海外発展途上国の複雑な債券の時価決定で、判断ミスが相次ぎ、ダブルチェックを導入したものの、信頼の法則が発動して、有効に機能しませんでした。
そこで、ダブルチェッカーは一次チェック者とは少し質の違う検査として、統計的手法を用い、例えばt検定より信頼区間を求め、数値変動が有意な範囲にあるかをチェックしたら、かなり精度が高まったという逸話があります。
>そういえば刑法でも、交通事故に関して、「信頼の原則」というのがありましたね。注意義務の一形態で、過失責任を限定するドイツ由来の法理です。話が広がりすぎるので、この辺で我慢しますが。。。
うちはブルーレイ対応しているので、ブルーレイ版でご紹介です。